平面構成とは
私たちは三次元空間に住んでいますが、造形的表現方法としては二次元のスペースに行うことが多く、立体的なものを紙の上に表すにはどうしたらよいかという問題があります。二次元の空間に対する表現的能力を養うことは、造形の広い範囲にわたって必要とされています。
平面構成は「各種の造形活動に共通的に必要な内容を持つ基本的造形活動」ということになります。
(「芸術・デザインの平面構成」朝倉直巳, 六耀社, 1984)
基礎造形とは
造形の各ジャンル(絵画・彫刻・デザインなど)に共通して存在する基礎的で重要な問題を対象にして研究したり、教育したりすること=形態、色彩、材質、構成、発想方法、教育方法、造形的可能性の探究…
形態構成の中の一つが「平面構成」です。
平面構成の目的
二次元の平面における造形表現力を培うことが目的です。
造形表現力→形や色に関するデザイン上のさまざまテクニックや表現方法を駆使して、視覚効果を高める能力のこと
(「構成学のデザイントレーニング」三井秀樹・三井直樹, 六耀社, 2017)
構成の原理
▶造形要素
- 形: 点、線、面、立体空間
- 色: 色相、明度、彩度
- 材料
- 質感(テクスチャー)
+ 光・運動・テクノロジー
▶造形秩序
ハーモニー(調和)、コントラスト(対比)、シンメトリー(対象)、リズム(律動)など…
視覚言語の考え方
すでにあるモチーフを再現するのではなく、イメージや考え方、形や色の持つ機能や美しさに基づいてつくりあげる方法は、バウハウス(1920年代)によって体系化されます。形と色による意味の追求、実験的表現、教育的効果が試行され、デザインだけでなく他の分野にも影響を及ぼしました。
日本の美術教育にも導入され、戦後、デザイン教育に反映、基礎造形、ベーシック・デザインとして発展していきました。(「美術科教育の基礎知識」建帛社, 宮脇理監修, 1985)
点・線・面
造形の最も基本の構成要素です。ユークリッド幾何学上では「空間における位置(点)や線分、平面、また三次元の奥行きを規定する立体の概念」と表されます。
点
線と線がぶつかってできる交点
幾何学上では、点は大きさを持たず位置を示すだけのものですが、造形においては、点は大きさ(面積)を持ち、見える形として表現されます。一定以上の密度で並べれば、面として知覚されます。
線
点が移動したもの
幾何学上では、位置と長さだけあって幅のない形体です。造形においては、線に太さや幅を与えて扱います。点が一方向に移動したときには直線、少しずつ方向を変えながら移動すると曲線になります。線の幅を太くしていくと面に見え、点と同様、一定以上の密度で並べれば、面として知覚されます。
面
線が移動したもの
線の移動による軌跡が二次元の面になる。さらに面の移動が三次元の立体になる
反復(repetition)
リズムの表現。動きの間隔を表す造形方法の一つとして、造形的要素が繰り返し現れるようにすることによって、リズムをつくる
合同形…同じ形を用いる
相似形…形状は同じで、サイズが異なるものを用いる
類似形…近い形を用いる
《参考文献・サイト》
- 「芸術・デザインの平面構成」朝倉直巳, 六耀社, 1984
- 「構成学のデザイントレーニング」三井秀樹・三井直樹, 六耀社, 2017
- 「美術科教育の基礎知識」建帛社, 宮脇理監修, 1985(新版 2010)
- M.C.エッシャーの作品
- リピテーション